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遠く離れて地球にひとり » « 日本人の「根拠」
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書誌データ

教育・資格検定
幻冬舎
2008年 04月 発売
410P
9784344014916

内容紹介

「成長」が魅力を失ったいま、日本人が希求すべき生き方、それが昭和三十年代主義である―。日本人の希望と、日本が未来に生きる道を提示する、鬼才・浅羽通明の書き下ろし傑作評論。

著者紹介

浅羽 通明:1959年、神奈川県生まれ。「みえない大学本舗」主宰。著述業。81年、早稲田大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

目次

第1部 昭和三十年代主義とは何か(流行と批判―山崎貴監督「ALWAYS 三丁目の夕日」から考える/嗜好と思想―原恵一監督「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」から考える/協働とやりがい―橋本治『虹のヲルゴオル』ほかから考える/下町と恋愛―野村孝監督「いつでも夢を」から考える/消費と定常型社会―佐伯啓思『成長経済の終焉』から考える)/第2部 折り返し点を過ぎた日本(上昇志向とマスコミ幻想―宮部みゆき『模倣犯』から考える(前篇)/定番とキャラ社会―宮部みゆき『模倣犯』から考える(後篇)/地元つながりと普通―宮藤官九郎「木更津キャッツアイ」シリーズから考える/祝祭と共同体―岩本仁志監督「明日があるさ THE MOVIE」から考える/分際と演戯―山崎貴監督「ALWAYS 続・三丁目の夕日」&筒井康隆『美藝公』から考える)

想い出の中で死んでくなんて

5

いわゆる昭和30年代ブームの火付け役となった『ALWAYS 三丁目の夕日』。だがブームとは裏腹に、知識人たちの反応は実に冷淡なものだった。曰く「過去を美化している、あの時代は少しも幸福じゃなかった」、曰く「過去を振り返っても何も生まれない」という具合に、このブームを不毛なノスタルジーに過ぎないとする論評が大勢を占めたのである。

もしも彼らの言うとおりだとすれば、この作品を観て感動したのは現実と映画の区別もつかない人々、懐旧の情にひたって未来に目を塞いでいる連中ということになる。そんな馬鹿なことがあるものか。おそらくほとんど全ての観客が、これを作り物だとはっきり理解していたはずだ。それでも彼らは、その儚く美しい夢に感動したのである。

過去を振り返ることを不毛だと彼らは言う。だが話は逆である。そもそも人間は、前を向いてしか生きてゆけないのだ。かつてある歌手が「想い出の中で死んでくなんて 誰にも出来ないのさ」と歌った。前しか向けない、それこそが人間の悲しい宿命なのである。後ろを振り向くのは、迷ったときに過去から学ぶため、そして前へ進む勇気を得るためなのだ。人間は過去からしか学べない。未来は未知なのだから。考えてもみるがいい。中世ヨーロッパがギリシャ・ローマの古代を振り返らなかったら、果たして近代文明は成立しただろうかと。

本書は在野の思想家であり、屈指のサブカルチャー批評の名手である浅羽通明が、『ALWAYS 三丁目の夕日』をはじめとする昭和30年代ブームを真正面から受け止めて論じた稀有の書である。浅羽はこのブームが『三丁目の夕日』一作によって突然起きた底の浅いものではなく、以前からいくつかの作品の底流として、日本人に共通の気分となっていたと指摘する。その代表作として浅羽が挙げるのが『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』である。

浅羽はこの二つの優れた作品を中心に、様々な小説、映画を読み解きながら、日本人の中に、まだ漠然とだが生まれかけている思想の形を探り当てようとしている。橋本治『虹のヲルゴオル』、宮部みゆき『模倣犯』といった文学作品が、『明日があるさ THE MOVIE』、『木更津キャッツアイ』などの映像作品が俎上に載せられ、見事な手際で分析されて、そこに共通するビジョンが、「昭和三十年代主義」とでも呼ぶべき日本人の「夢」が浮かび上がってくる。本書は現在品切れの状態だが、大震災後からの「復興の哲学」を考えるべき今、復刊が強く望まれる書である。

せっかく歌詞を引いたので、またとらのゆめさんの猿真似を一つ。BGMは、今やほとんどその曲の聴かれることのなくなった歌手、世良公則の『バラードが聴こえる』である。

+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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男女共通
引用文
「昭和三十年代は、家族や隣近所が助け合い守りあう温かい人情のぬくもりに充ちていた……。まあ、こんなところが、いまなぜ昭和三十年代なのかが解説される場合の定番です。しかし、(略)これはいつの時代にもある「昔はよかった」式の根拠なき美化に過ぎません。少年犯罪、青少年の自殺が、史上最も多かったのは昭和三十年代です。」
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このブクレポへコメント

705番目の宇宙さんがこのブクレポにコメントしました

705番目の宇宙
705番目の宇宙さん2013-05-09 17:19:16

昭和30年代がいい時代だったというのが私も疑問に思っていました。
この時代で忘れてはならないのが「永山則夫」死刑囚だと思います。
彼の作品の「木橋」を読むとあの時代がいい人間ばかりではなかったことがうかがい知れます。
むしろ、貧困によってすさんだ生活をしいられた人々が多かった時代です。
それに比べれば今の時代の方がよっぽどいい時代なのかもしれません。
閉塞した現代より、確かに未来に希望を持てた時代だったかもしれませんが、
果たしてそれが幸せだったといいたいのでしょうか。
物が豊かになった現代から本当の幸せを考えるという意味で未来を見据える視点が今必要だと考えます。

トグサさんがこのブクレポにコメントしました

トグサ
トグサさん2012-03-20 20:14:06

ランビアンさんへ。
ご丁寧なメール、ありがとうございました。

3kiさんがこのブクレポにコメントしました

3ki
3kiさん2012-03-16 21:40:37

>ランピアンさん>Aokiさん
流れてくるコメントの方でランピアンさんとお話ししていたら満足してしまい、気がつくのが遅れました。
「使用料、とる」といったらわたしの方が先人からとられないといけません。
というわけで、「使用料」は、みなさんらしい場面でお使いいただくこと。それ切りです。

ランピアンさんがこのブクレポにコメントしました

ランピアン
ランピアンさん2012-03-18 22:34:56

>>3kiさん
ありがとうございます。感謝いたします。

トグサさんがこのブクレポにコメントしました

トグサ
トグサさん2012-03-14 09:56:44

別に正反対でも何でもありませんが、
『バカの壁』・・・ですか
ツマラン。
以上。

ランピアンさんがこのブクレポにコメントしました

ランピアン
ランピアンさん2012-03-13 20:39:29

>>トグサさん
 なるほど、私とは思想的に正反対のお立場ということですね。であれば、本書を頭から拒否されても一向に問題ないでしょう。私は異なる思想を持つもの同士が熟議だの討論だのでわかりあえるとは全く考えていません。異なる思想的立場に立つものは永遠に平行線のままですから。

トグサさんがこのブクレポにコメントしました

トグサ
トグサさん2012-03-13 09:28:06

僕にとって、浅羽は、微妙な存在だったりします^^
それに、僕はマニアな映画ファンでもあるのですが、ランビアンさんが、ここで批判されている、あんなもの・・・という立場であったりします(笑い)。
別に、自分の反対の立場=本書を頑なに拒否するという頑固者ではないつもりですが^^
リコメント、ありがとうございました^^

トグサさんがこのブクレポにコメントしました

トグサ
トグサさん2012-03-12 14:19:25

本書より、ランビアンさんの書評の方が、面白そうですね^^

ランピアンさんがこのブクレポにコメントしました

ランピアン
ランピアンさん2012-03-12 20:33:05

>>トグサさん
ありがとうございます。しかしながら、拙文より本編のほうがはるかに面白いです。

Aokiさんがこのブクレポにコメントしました

Aoki
Aokiさん2012-03-11 05:45:50

レポ読んで、感動してしまいました。

Aokiさんがこのブクレポにコメントしました

Aoki
Aokiさん2012-03-11 12:59:33

>>3kiさん句を詠んでいるだけあって、コメントの言葉がとても素敵です。
ランピアンさんと同じく、使用許可願います。

Aokiさんがこのブクレポにコメントしました

Aoki
Aokiさん2012-03-11 13:25:02

>>ランピアンさん 紹介されている世良公則の『バラードが聴こえる』を久々に聞いてみました。良いですね。
聞きながら、再度コメント読んでいたら、「人間は過去からしか学べない」がとても響いてきました。本当にそうだと思います。しかし、学ばれていない事実が世の中には溢れている。とても歯痒い。

ランピアンさんがこのブクレポにコメントしました

ランピアン
ランピアンさん2012-03-11 13:38:21

>>Aokiさん
ありがとうございます。私も自戒の念を新たにしたいと思います。

ランピアンさんがこのブクレポにコメントしました

ランピアン
ランピアンさん2012-03-11 10:23:03

>>Aokiさん
感動的なレポの本家というべきAokiさんにほめられると恥ずかしいですが。

ランピアンさんがこのブクレポにコメントしました

ランピアン
ランピアンさん2012-03-11 10:22:08

>>3kiさん
「上手に過去を愛す」はいい表現ですね。今後使わせてもらいます(使用料はいいですよね)。

3kiさんがこのブクレポにコメントしました

3ki
3kiさん2012-03-11 05:20:19

やはり、左の目次から、作品を知っておいてから読んだ方が楽しそうですね。
全部でなくとも、作品の雰囲気くらいは知っておいた方が良さそうです。
上手に過去を愛し、現在と未来を見つめ、生きていきたいものですね。

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