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もう顎が外れそうです。 » « 「意味」を喰う怪物
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書誌データ

教育・資格検定
飛鳥新社
2007年 08月 発売
357P
9784870318052

内容紹介

「お前なぁ、このままやと2000%成功でけへんで」ダメダメなサラリーマンの前に突然現れた関西弁を喋るゾウの姿をした神様“ガネーシャ”。成功するために教えられたことは「靴をみがく」とか「コンビニで募金する」とか地味なものばかりで...。ベストセラー『ウケる技術』の著者が贈る、愛と笑いのファンタジー小説。

関西弁の商業神

3

妻に付き合って、『リッチマン、プアウーマン』という、いわゆる月9ドラマを観ている。題名は往年の米製ドラマ『リッチマン・プアマン』の捩りだろうが、内容はいかにも当世風だ。小栗旬扮する若きカリスマIT長者が経営する企業の採用説明会に、就職活動に失敗し続け、いまだ内定がゼロという女子学生がやって来る。

石原さとみが演じるこの女子学生、頭はいいがちょっと抜けていて、説明会では日本的経営や雇用体系を批判する小栗の格好の餌食となり、他の学生たちの前で笑いものにされてしまう。親や教師のいうとおり従順に勉強することしか知らないから、足を棒のようにして内定の一つも取れない。彼女は日本式教育の犠牲者だ、というわけだ。

気障なエリートが非エリートを小馬鹿にする嫌味たっぷりの構図で、こんなドラマが受け容れられるとは日本人もさばけてきたものだと思っていたら、話が進んで納得した。石原演じる女子学生は東大生だが、小栗の最終学歴は中学校なのだ。エリートと非エリートの役回りは逆だったわけである。石原が平凡な女子大生で、小栗がハーバードやスタンフォード帰りの秀才だったら、たとえ舞台がアメリカであってもドラマとして成立しないだろう。

それはいうまでもなく、映画やドラマの受け手の多くが非エリートだからである。お客様は神様であるから、敵に回してはTV局も映画会社も商売が成り立たない。非エリートのルサンチマンを必要以上に刺激しないことが重要になる。

それは「人生における成功の秘訣を説く」、いわゆる自己啓発書を書く場合でも同じだろう。成功の秘訣を説くという以上、成功者がいかに立派な人間であり、社会的成功がいかに素晴らしく価値あることかを強調せねばならない。だが当然、こうした本が想定する読者は未来の栄光を夢見る非成功者であるから、成功者を持ち上げすぎると前述の罠にはまってしまう。

読者の皆が皆成功できるわけでなし、また成功者に憧れるあまり、若者たちが日々の地味な業務を軽視するようになっては元も子もない。したがって自己啓発書の極意とは、目の前の仕事や生活に前向きに取り組むべしというごく平凡な結論を、どれほど読者に説得的に語りうるかという話術、語り口の勝負なのだろう。

本書は周知のとおり、2008年のベストセラーとなった小説形式の自己啓発書である。有名企業に勤めてはいるが生活に張りがない若者の前に、ガネーシャと名乗る珍妙な「神様」が現れ、成功への手ほどきをしてくれるという筋立てだ。神様が立身出世の指南とは驚くが、題名に「ゾウ」とあるとおり、このガネーシャは最近置物としてよく見かけるヒンドゥー教の象頭の商業神であるから、なるほどこうした役回りでもおかしくはない。

このガネーシャが、青年との丁々発止の問答によって彼の発想を転換させ、成功へのステップとなる様々な課題を与えていくのだが、むろん本書をお読みの貴方もこの課題を実践してくださいね、ということになっている。この課題、ベストセラーになったにしては存外平凡だとの声もあるようだ。しかし著者自身、本書に書かれた教訓自体はごくありふれたものだと断っているし、前述のとおり問題は一にかかって話法なのであるから、こうした批判は当たるまい。

本書の価値は様々な自己啓発書のエッセンスを抽出し、実践向きに徹底的にブレークダウンしたうえで、気の利いた小学生なら読めそうな物語に仕立ててみせた著者の手腕にあるのだろう。なかなかよく考えぬかれた実用的な構成だと思うし、読書嫌いの当世の若者でも読み通せそうだから、将来の成功云々に関わりなく、新入社員が仕事への構えを作るテキストとして好適だろう。

またビジネスとは関係なく、人付き合いが苦手な若者が人間関係を作る技術を学ぶにもよいかもしれない。人と人との関わりを「技術」とは何事かと叱られるかもしれないが、人間関係をテクニックとして学ぶしかない不器用な人間もいるのである。

文明批判めいたことを書き散らしている私がこうした本を褒めるのは、あるいは矛盾していると映るかもしれない。本書の主張の本質は、現代におけるビジネス書の基調となっている利他的エゴイズムであり、これはたしかに私が敵と狙う思想である。だが私はこういう本の読者、つまり己の欲望に正直な人間たちを嫌いになれないのだ。私も含め、社会への批判を声高に叫ぶ徒輩より、彼らの方がよほど健康的なのではないか。そういう迷いが脳裏から去らないのである。
+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
おすすめしたい人
中・高生 20代 アラサー
引用文
「「幸ちゃんがな、松下の幸ちゃんがこんな言葉を残しとる。『全ての責任は自分にある』。他人が起こす出来事、身の回りの環境で起きる出来事は全部自然の法則どおりに発生しとる。だとしたら自分が望む結果を出すには、自分を変えるしかあらへん。だから『すべての責任は自分にある』なんや。自分も聞いたことあるやろ、『変えられるのは自分だけだ』て言葉。これも全部同じことを言っとんのやで。でも本質的に理解しとるやつなんてほとんどおらへん」」  (147P)
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このブクレポへコメント

3kiさんがこのブクレポにコメントしました

3ki
3kiさん2012-08-01 05:52:00

引用の松下幸之助の台詞、似たようなことをずいぶん若い頃に言ったことがありますが、そうしたら職場の大先輩に「そんな風だと、疲れるでしょ。もっと方の力を抜きなよ」と言われました。
それも、確かに、何ですなあ。

ランピアン
ランピアンさん2012-08-01 19:34:05

そう、どんなときもそういう気持ちでいられる人は尊敬しますが、私は無理ですね。

3ki
3kiさん2012-08-01 19:41:13

状況を変えるなら、自分が変わる方が楽。とも。
結局は、楽して濡れ手に粟より(棚ぼたの方がしっくりくるかな? 濡れ手は、きちんと工夫した結果にも思える……)、小粒でも、自分で得たものを慈しむ方が幸せです。
と、言い聞かせてます。(笑)

ランピアン
ランピアンさん2012-08-01 20:15:04

まあ、自分で信じたようにやるのが一番ですね。

3ki
3kiさん2012-08-01 20:17:09

ですよね。(笑)

かたばみさんがこのブクレポにコメントしました

かたばみ
かたばみさん2012-08-01 09:20:33

自己啓発書をスバッといきましたね(笑)

ランピアン
ランピアンさん2012-08-01 19:32:23

あまり切れは良くなかったので、お恥ずかしいところです。

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