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書誌データ

小説・エッセイ
光文社
2015年 09月 発売
394P
9784334910549

内容紹介

突然失踪した父。行方を追う娘は、父が25年前の殺人事件の法廷で、被告に有利な証言をしていた事実を知る。真相を求めて父の過去をたどる娘は、「無戸籍」という不条理な境遇に生まれた彼の、あまりにも過酷で無慈悲な人生に向き合う。『代理処罰』で第17回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した著者渾身の書下ろし長編ミステリー!

「無戸籍」の男の、過酷で無慈悲な人生

5

フリーの編集者である、木村香の父親が、行方不明となる。彼女は、いとこの響子の協力も得て、父親の行方を捜し始める。

この作品は、父親の行方を捜す話と並行して、行方不明の父親の半生が描かれていく。そのことによって、父親捜しをしていくうちに出てくる、さまざまな謎が、徐々に解き明かされていくという作りになっている。

実は、香の父親である純一は、「無戸籍」の子どもだったのである。彼の母親は、暴力をふるう夫と離婚し、純一の実の父親である、別の男性と暮らし始めた。ところが、切迫早産で、離婚後290日目に生まれたため、民放772条の、いわゆる「300日ルール」により、前の夫の子どもであるとされ、出生届の受理を拒否されてしまったのである。
子どもの戸籍を作るためには、前の夫の、「親子関係不存在確認」が必要なのだが、暴力をふるうような男が、協力してくれるはずもない。そして純一は、「無戸籍」のまま、中学校を卒業したのだ。無戸籍の彼に義務教育を受けさせるため、彼の母親は、屈辱的な行為を強いられたのである。

純一の実の父親は、彼が幼い頃に亡くなり、母親と二人で暮らしていたのだが、その母親も亡くなってしまう。中学を卒業しても、無戸籍のため、高校にも行けない。免許も取得できないので、身分証明になるものが何もない。もちろん、健康保険もないので、病院にかかれば、高額のお金が必要となる。住民票もないので、部屋を借りることもできない。将来的には、結婚をすることもできないのだ。戸籍がないという、本人には全く責任がない理由で、私たちが「普通」だと思っている生活を営むことができないのだ。

そして彼は、「普通」の生活を手に入れるため、小学校1年のときに行方不明となった、「星野美雪(男性)」という人物の戸籍を「買う」。そのおかげで、免許も取得できたし、パスポートを作り、海外に行くこともできた。しかし彼は、次第に、得たものよりも、大きなものを失ったのではないかと思い始める。そして、「星野美雪」として生きることへの違和感と嫌悪感、それに苛立ちを覚え始めるのだった。

彼は、25年前、殺人事件の裁判に、証人として出廷していたことが明らかになるのだが、証人として法廷に立った彼は、涙を流していたという。作品の終盤で、彼が流した涙の理由が明らかになるのだが、それは、あまりにも切ない。

父親の行方とともに明らかになる、香自身の秘密。
行方不明の父親に隠された謎と、無戸籍の父親の半生が、実に見事につながっていく作品だった。

「法的に存在しない」と宣告された男性の、あまりにも過酷で無慈悲な人生。「透明人間」と言われた自分には、「貌」がない。

法律というものについて、改めて考えさせられる、非常に読みごたえのある作品だった。「無戸籍」の問題について、もっと真剣に議論されるべきだと強く思った。
+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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