ブクレポ
ブクレポってどんなサイト?
login_header
新規登録(無料)
login_header
ようこそゲストさん 
  • ログイン
  • ブクレポとは?
  • ヘルプ
  • ホーム
  • 本をさがす
  • ブクレポをさがす
  • ユーザをさがす
まーちさん 
60 あり!
あり!
このブクレポを評価しよう!あり!とは?
+5あり! +5あり!を取り消す +5あり! +3あり! +3あり!を取り消す +3あり! +1あり! +1あり!を取り消す +1あり!
このブクレポにあり!した人
環境汚染をめぐる誘拐事件のはずが・・・ » « 皆が幸せになるための嘘
book_report_header

書誌データ

小説・エッセイ
サンマーク出版
2015年 12月 発売
348P
9784763135070

内容紹介

お願いします、あの日に戻らせてください―。「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」不思議なうわさのある喫茶店フニクリフニクラを訪れた4人の女性たちが紡ぐ、家族と、愛と、後悔の物語。

過去に戻ることによって、変わるものとは?

5

明治40年にオープンし、内装は、ほぼ当時のまま。そのため、エアコンもないのだが、地下にあるためか、夏でもひんやりと涼しいらしい。
その喫茶店の名前は、「フニクリフニクラ」。実は、その店には、不思議な都市伝説があるのだ。それは、ある特定の席に座ると、その席に座っている間だけ、望んだ通りの時間に移動ができるというものなのだ。つまり、過去に戻れるということである。ただし、そこには、非常に面倒くさいルールがある。それは・・・

1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会うことができない
2.過去に戻ってもどんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる
  席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動することはできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ

つまり、このうわさを聞いて地方からはるばるやってきても、会いたい相手も、その喫茶店に来たことがなければ会うことはできないし、現代の知識を持ち込んでなんとかしようとしても、戻ってきてしまえば、現実は何一つ変わっていないのだ。そして、「先客」というのは、実は、幽霊なのだ。この幽霊が実にやっかいで、頼んでもどいてくれないし、無理やりどかそうとすると、呪いをかけられてしまうのだ。その幽霊が席を立つのは、一日一回、トイレに行く時だけなのである。ただし、いつトイレに行くかは、全くわからない。さらに、過去に戻ってから席を立つと、現在に戻ってしまうので、自分から相手に近付くことはできない。そして、チャンスは、コーヒーが冷めてしまうまでという、極めて短い時間なのだ。しかも、コーヒーが冷める前に飲み干してしまわないと、幽霊になってしまうのである。「先客」の幽霊は、そのために幽霊になってしまったらしい。また、過去に戻れるのは、1回限り。つまり、チャンスは1度なのである。

この作品は、そんな面倒なルールがあるにもかかわらず、それでも過去に戻りたいという女性たちの話である。

第一話 『恋人』 は、夢だった仕事のために、アメリカに行ってしまう恋人を止めることができなかったOLの話。彼女は、この喫茶店で、最後に彼に会った時に戻るのだった。戻っても、彼がアメリカに行くという現実は変わらないのだが、彼の心に秘められた、意外な気持ちを聞くことになり・・・

第二話 『夫婦』 は、房木(ふさぎ)という常連客と、高竹(こうたけ)さんという看護師の話。実はこの二人、夫婦なのだが、房木は、若年性アルツハイマー型認知症を発症し、記憶障害を起こしていたのである。そのため、同じ名前だと混乱する可能性があるので、高竹さんは、旧姓で呼んでもらっているのだ。そしてついに、房木は、妻が誰だかわからなくなってしまう。高竹は、店を手伝っている数(かず)から、房木が、高竹に、手紙を渡そうとしていたことを聞く。その手紙の内容を知るために、高竹は、過去に戻るのだが・・・

第三話 『姉妹』 は、常連客の平井八絵子と、その妹の話。スナックを経営している平井の実家は、仙台の老舗旅館である。女将になるのが嫌で、家を飛び出した平井。そんな彼女を、女将となった妹は、時間を見つけては、家に帰るように説得に来ていたのだ。ところが、最後に店に訪れた帰りに事故にあい、亡くなってしまったのである。最後に妹が来たとき、平井は、カウンターの下に隠れて、会おうともしなかった。自分のせいで女将になった妹にも、何か夢があったのではないかと、後ろめたい気持ちになる平井。そんな彼女は、妹が最後に店を訪れた時に戻るのだが・・・

第四話 『親子』 は、店の経営者である時田流(ながれ)の妻・計の話である。実はこの店、未来にも行けるのだ。しかし、未来の、ほんのわずかな時間に、会いたい相手が店にいる確率はゼロに等しいため、試す人はいなかったのである。しかし計は、どうしても未来に行ってみたいと言う。彼女は妊娠中なのだが、心臓が弱いため、出産には、かなり危険が伴うのだ。計は、自分の子どもに会うために、未来へ行くのだが・・・

この作品、帯に、「4回泣ける」と書かれているらしいが、私の印象では、泣けるのは、第2話以降である。ネタバレになるので、具体的には書けないが、本当に素敵な話で、涙がこみ上げてきた。

この作品は、もともと、舞台作品だったそうである。確かに、小さな喫茶店内で、全ての話が描かれているので、舞台にはもってこいの話である。舞台装置にお金をかけなくても、こんなに素晴らしい作品が出来上がるというのは、見事だ。

ネタバレになるので、詳しくは書けないのだが、この作品、話のつながり方が、実に素晴らしいのだ。次の話への伏線が、前の話の中で描かれているのである。

過去に戻っても、現実は変わらない。でも、過去に戻った人たちは、確実に変わったのだ。変わったのは現実ではなく、彼女たちの「心」だった。

タイトルからは想像できないような、単なるタイムスリップものではない、本当に素晴らしい作品だった。
+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
タグ
この書籍の他のブクレポ
book_report_footer

ブクレポの輪

ブクレポの輪とは?

このブクレポへコメント

 この書籍のブクレポ

心の成長
hi2515さん
4
あり!:40     コメント:0
現実は変わらなくても、人の心が変わるなら…
p-mamaさん
5
あり!:36     コメント:0

  川口俊和の書籍のブクレポ