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皿までなめずにいられなくなるような料理を作るシェフ... » « 岬洋介、最初の事件!
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書誌データ

小説・エッセイ
実業之日本社
2016年 06月 発売
429P
9784408536866

内容紹介

過疎化と高齢化が深刻な田舎町で「買い物弱者」を救うため、大学を中退したたまちゃんは、移動販売の「おつかい便」をはじめる。しかし、悩みやトラブルは尽きない。外国人の義母とのいさかい、救いきれない独居老人、大切な人との別れ...。それでも、誰かを応援し、誰かに支えられ、にっこり笑顔で進んでいく。心があったまって、泣ける、お仕事成長小説。

「幸せの極意」とは?

4

20歳の葉山珠美こと“たまちゃん”は、大好きな祖母・静子さんの一言がきっかけで、大学を中退し、起業を決意する。たまちゃんたちが暮らす田舎町は、過疎化と高齢化が進み、静子さんも含め、「買い物弱者」が増えていたのである。その、「買い物弱者」を救うために、たまちゃんが考えたのが、「おつかい便」という移動販売だった。

この作品、途中までは、展開がやや遅く、ちょっとじれったかった。しかしそれは、この作品が、単なる「お仕事小説」ではないからだと気付き、そこからは、読み方が変わっていった。

たまちゃんは、大学を辞め、都会から、地元に戻ってくる。そしてまず、業務用の車を手に入れるため、幼なじみで、父親の経営する自動車修理販売の仕事を手伝っている壮介に、車の調達を依頼する。
そして、ある理由から、自宅に引きこもっている、もう一人の幼なじみ・真紀には、彼女が得意なパソコンで、宣伝のチラシ作りを依頼したのだ。
そして、子どもの頃から、芸術の才能を発揮していた壮介が、塗装までしてくれた業務用車と、真紀がデザインした、素敵なチラシが揃う。しかしながら、この二人にも、それぞれの事情があったのである。

壮介は、男手一つで育ててくれた父親を一人にすることができず、自分の夢に目をつぶり、父親の仕事を手伝う道を選んだ。
真紀は、都会で就職して間もなく、同僚の男性に、多量の酒を飲まされて犯され、それを、周りにばらされてしまったのである。会社に行けなくなってしまった彼女は、身も心も傷ついて、田舎に戻り、引きこもりになってしまったのだ。
そんな二人は、「たまちゃんのおつかい便」とかかわることにより、二つの意味で、幸せを見つけたようだ。

さらにこの作品では、たまちゃんの義母である、フィリピン人のシャーリーンに対する、たまちゃんの気持ちの変化が、重要なポイントとなっている。たまちゃんの母親は、彼女が13歳のときに、事故で亡くなったのだが、その4年後に、父親が再婚したのである。しかし、シャーリーンの恩着せがましい言い方や、ありがた迷惑な行動の一つ一つが気に入らず、ぎくしゃくした関係が続いていた。といっても、、それは、たまちゃんの一方的な気持ちで、シャーリーンは、心の底から、たまちゃんのことを家族だと思い続けていたのだ。終盤で誤解が解けてからは、まさに、「喧嘩をするほど仲がいい」関係になれたようである。

この作品は、「たまちゃんのおつかい便」にかかわった人々が、それぞれの幸せを見つけていく話でもある。死を迎える者、町を離れることになる者、たまちゃんは、「おつかい便」では救いきれないことがあることにショックを受けるのだが、彼女たちは、けっして、不幸ではなかった。それぞれの幸せを胸に、旅立っていったのである。
たまちゃんが弟子入りした、元ヤクザという経歴をもつ、移動販売の先輩の老人も、引退後にやるべきことを見つけたようである。

「幸せの極意とは、いつもいい気分でいること」。素敵な言葉がたくさん詰まった、森沢さんらしい作品だった。
「あとがき」に書かれていたのだが、この作品には、モデルがいるそうである。「買い物弱者」というものが気になり出した森沢さんが、三重県で移動販売を起業した、東真央さんのニュースを目にし、彼女に会いにいったそうだ。そして、「まおちゃんのおつかい便」を、小説にすることを思いついたそうである。

しかしながら、ひねくれ者である私は、今回の作品を、全て、素直に受け入れることはできなかった。出てくる人たちが、みんないい人というのは、まだ我慢できる。しかし、たまちゃんの、あまりの甘さが、どうしても気になってしまったのだ。
まず、お金が無いのに起業しようとしている。銀行から借りようとしていたようだが、担保もなく、商売が成り立つかもわからないような若い女性に、銀行が、お金を貸してくれるとは思えない。そして、結局は、父親が、母親の保険金を渡してくれて、資金の問題が解決してしまうのである。個人的には、必死でバイトをしてお金を貯めるくらいの根性を見せてほしかった。
そして、オープン初日から商売が順調というのも、うまく行き過ぎのような気がしてしまった。
そのほかにも、いろいろと気になることがあり、たまちゃんのことを、素直に「いい子」だと思えない部分があった。そんな意図は全くないことはわかるのだが、無意識にあざとい感じがしてしまったのである。
たまちゃんが、あまりにも恵まれているので、試練はないのかと思っていたら、終盤になって、次々と試練に襲われることになる。

・・・・と、ひねくれ者の戯れ言を書いてしまったが、素直な気持ちで読めば、全体としては、とても素敵な作品である。それにしても、たまちゃんの祖母の静子さんは、あまりにも素晴らしい人すぎる。


+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
引用文
「人生には、みんなが通ったあとにできる轍はあっても、レールはない。だから、あなたは自分の心を羅針盤にして、あなただけの道を歩いていけばいい。そして、それこそが唯一、後悔をしないで死ぬための方法なのだ」  (126P)
「人にするのは期待じゃなくて、感謝だけでいいんだよ」  (129P)
「人生は振り子。何かでっかい不幸があったら、今度は、それと同じ分量だけ幸福の側に振れる。」  (225P)
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メモ
この作品に出てくる風鈴は、著者の「エミリの小さな包丁」という作品で、祖父が作ったものだろうかと想像してしまった。
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