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突然、“小説家の弟”になってしまった少年の物語 » « 私には、どんな“一杯”を淹れてくれるかな?
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書誌データ

小説・エッセイ
文藝春秋
2016年 07月 発売
151P
9784163906188

内容紹介

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが...。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。

“普通”と見られるための苦痛

4

古倉恵子は、“普通”の人たちから見たら、理解できない子どもだった。
公園で死んでいる小鳥を見つければ、「これ、食べよう」と言い出す。恵子は、父親は、焼き鳥が好物だし、自分と妹は、唐揚げが大好きなのだから、喜ぶと思ったのである。
小学校で、男子がけんかを始め、「誰か止めて」という声が聞こえれば、用具入れのスコップを取り出し、その男子の頭を殴った。恵子は、止めろと言うので、一番早そうな方法で止めただけなのである。
ヒステリーを起こしている女性教師に対し、「やめて、先生!」という声が聞こえれば、その先生のスカートとパンツを勢いよく下ろした。恵子は、大人の女の人が服を脱がされて静かになっているのを、テレビの映画で見たことがあったのである。
そんな彼女の扱いに、家族が困っているのを見て、恵子は、皆の真似をするか、誰かの指示に従うか、どちらかにして、自ら動くのは一切やめたのである。

そのまま成長した彼女は、大学生になり、新しくオープンするコンビニで、バイトを募集しているのを発見する。そのコンビニで働くことになった恵子。そのとき、初めて、彼女は、「世界の部品」になることができたと感じたのである。世界の“正常な”部品としての彼女が誕生したのだった。

彼女は、大学を卒業しても、コンビニのアルバイトを続け、気が付けば、18年が経っていた。食事は大抵、コンビニのもので済ませ、彼女の身体は、コンビニの食料でできているようだった。
そんな彼女の前に、白羽という、新入りのアルバイトの男性が現れる。彼がコンビニで働く目的は、婚活のためだと言う。そんな彼は、客の女性にストーカーまがいの行為をしはじめたため、クビになってしまったのである。
しかし、ひょんなことから白羽と再会し、彼の事情を聞いた恵子は、婚姻届けを出さないかと提案したのである。さらに、恵子のアパートで、一緒に暮らすことになり・・・

恵子の提案は、白羽を、恋愛の対象と考えてのものではない。二人は、全く違うタイプだが、“普通”であることを要求されることに苦痛を感じるという点で、共通していたのである。大人になったら、就職し、恋愛をし、結婚し、子どもを産む。周りは、そんな“普通”を求め、それができない人間は、排除されてしまうのだ。

別に、恋愛関係になったわけではないのに、男性と暮らし始めたと言うだけで、周りの反応が、全く変わる。どうやら、周りは、彼女が、“普通”になったと思い、喜んでいるようなのである。周りが喜ぶなら、それはいいことなのだと、恵子は思ったのだが、やがてそれは、本当の自分ではないと気付いたのである。

冷えた飲みものを最後にとってレジに向かうお客が多いとか、掌やポケットの中で小銭を鳴らしている人は、煙草か新聞をさっと買って帰ろうとしている人が多いとか、アメリカンドッグを包む前には、手をアルコールで消毒するとか、そんな、細かい描写は、今でもコンビニでバイトをしているという、村田さんならではだろう。

最近の芥川賞作品の中では、ダントツで読みやすく、面白い作品だった。
完璧なマニュアルがあるコンビニで働くことでしか、本当の自分でいられない女性や、“普通”であることから逃げ続ける男性の姿を通して、“普通”とは何なのかと、考えさせられる作品だった。“普通”を求めることは、時には、暴力になっているのかもしれない。
+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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あり!:35     コメント:0
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こたろうさん
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この方も群像出身の方でした。
タダイマトビラ
2
あり!:45     コメント:0
なんともいえない
ハコブネ
3
あり!:0     コメント:0
斬新で新鮮。
ハコブネ
3
あり!:6     コメント:0