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書誌データ

新書・文庫
PHP研究所
2009年 07月 発売
237P
9784569709123

内容紹介

「銀行の貸し渋りは問題です」と言われているが、「何が問題なのか」、「なぜ起きているのか」を理解している人はそれほど多くない。また、「ALM収益とは何か」と聞いてすぐに答えられる人は何人いるだろうか。経済生活を支える金融システム。しかし、その核となる銀行について知らないことは驚くほど多い。そのしくみを知ることは私たちの経済生活の礎となるはずだ。あしたのための「銀行学」を学び、正しい判断力を養える一冊。

著者紹介

大庫 直樹:1962年東京・堀切菖蒲園生まれ。85年東京大学理学部数学科卒。同年、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。東京、ストックホルム、ソウル・オフィスでコンサルティングに従事し99年パートナーに選出。以後、東京オフィス・リテールバンキング・プラクティスのリーダーとして銀行、ノンバンクなどあらゆる金融機関の経営改革に携わる。2005年GEに転じ08年独立、ルートエフ株式会社を設立し代表取締役に就任、コーポレイト・アーキテクトとして活動。09年大阪府特別参与に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

目次

プロローグ みんな名前が変わりました/第1章 貸し渋りって本当ですか?/第2章 預金ばかり集まって困っています/第3章 ALM収益という魔物/第4章 金融技術を責めないで/第5章 イノベーションの乏しい世界/第6章 あしたの「銀行」は...?/エピローグ 本質は21世紀の中小企業問題

「銀行問題」の真因

5

本書の著者である大庫直樹氏とは、氏がマッキンゼーのプリンシパルだった時代に面識がある。外資系コンサルタントという先入見から猛禽のように剽悍な人物を想像していたら、会ってみると物腰は柔和そのものの紳士だったので、意外の念に打たれたのを憶えている。

その折、刊行間もない著書『[新]銀行論』(ダイヤモンド社)を頂いた。「新」という語がわざわざ括弧に入れられた題名から窺えるように、当時ようやく明らかになりつつあった銀行というビジネスモデルの行き詰まりを、先進的なノンバンク(貸金業者)を手本として克服すべきと説く斬新な発想で、大いに蒙を啓かれた。

今になって振り返ると、氏の主張には銀行が融資先企業のソフト(定性的)情報を重視して適正なリスクを取り、低収益体質を改善すべきだという、後に金融当局が提唱することになる「事業性評価」を先取りする発想が含まれていた。氏がその後金融庁に参与という肩書きで迎えられたのも、当然といえば当然であった。

その大庫氏が2009年に上梓した本書『あしたのための「銀行学」入門』は、ハンディな新書ながら、銀行という経済システムについて書かれた入門書のうちで、近年最も優れたものだと思う。

従来金融の入門書というと、巻頭から「預金とは」「融資とは」「為替とは」といった具合に基本概念を逐一解説していくスタイルが一般的だが、著者はそうした教科書的な四角四面の構成は採っていない。

我々がふだん目にする銀行の姿――合併で銀行数が減り、名称も変わった――から説き起こし、銀行の基本的な仕組みや機能の説明も挟みつつ、なぜ銀行破綻が相次いだのか、日本の銀行が現在いかなる環境の下にあり、どのような問題を抱えているのかについて、難解な用語を避けた平易な文章で淀みなく語っていく。

一般のサラリーマンや学生でも一気に読み通せる内容だろう。ことに銀行志望の就活生にとっては格好の入門書だ。なぜなら本書には「銀行はいかにして利益を挙げているのか」、すなわち銀行の収益構造が理解できるよう具体的に書かれていて、これは類書には珍しいからである。

つまり本書は初学者向けの単なる入門書ではなく、「貸し渋りって本当ですか」「預金ばかり集まって困っています」「ALM収益という魔物」といった各章の見出しが示しているように、日本の銀行の低収益体質の改善という、先述した著者の実践的な問題意識に貫かれた、簡便だが本格的な「銀行論」なのである。

惜しむらくは、刊行後すでに十年を経て、内容が部分的にだが古くなっていることだろう。量的緩和政策開始から既に久しく、ついにマイナス金利の時代に突入し、もはや「貸し渋り」なる言葉は過去のものとなっているし、本書執筆時点では、史上初のペイオフ適用となった日本振興銀行の破綻はまだ起きていなかった。

だが、本書の主旨はいささかも古びていない。氏はマッキンゼーから独立後、民間人の身分のまま金融庁参与に就任、今後の人口減少を踏まえた独自の収益分析によって、近い将来地方銀行の経営は危機的なものになると予測、銀行に大胆な経営改革を迫る金融庁の行政方針に理論的な根拠を与えた。

氏が作成した分析資料は、同庁長官の名を取って「森ペーパー」と俗称され、地銀の経営陣たちを震撼させることになったのだが、それは氏が銀行というビジネスモデルの本質と限界を、極めて早い時期に看破していたためだろう。


その眼力は本書でも遺憾なく発揮されている。銀行を特別な存在ではなく「普通の会社」として眺める著者の眼から見れば、イノベーションに乏しい風土、収益管理の未熟さなど、依然として日本の銀行は自身の責に帰せられるべき多くの欠陥を抱えている。

だが一方、著者は本書の終章において、「銀行問題」とは畢竟「中小企業問題」にほかならないと喝破している。銀行がいかに審査能力を向上させ、経営規律を強化しようと、資金の主な借り手である中小企業の経営が不安定では資金需要も発生せず、融資の回収もおぼつかないのは当然である。

ところが、大企業がバブル崩壊後の奈落から順調に業績を回復させてきたのと対照的に、グローバル化により海外企業との競争にさらされた中小企業の景況は回復しないどころか、長期的なトレンドでは悪化の一途をたどってきたのである。

日本の中小企業が苦境から脱しえない理由として著者は、企業経営がかつてとは比較にならないほど難しいものになっていることを挙げている。IT技術の進展やサプライチェーンの国際化により企業の経営判断のプロセスは複雑化し、日本経済の絶頂期だった80年代よりも、経営者に求められるスキルが格段に高度化しているためだ。要するに「銀行問題」とは、当事者の怠慢を責めるだけでは解決しない構造的問題なのである。

であるならば、真に重要な問題はいかにして日本の中小零細企業の経営体質をより強靭なものに変えていくかということであり、銀行システムの健全化はその副産物でしかないことになる。

著者は巻末でそのためのヒントを幾つか提示しているが、「銀行問題」という小窓から見えてくるより広大な風景、すなわち日本経済の本質的課題を多くのビジネスマンや学生が共有するためにも、前述の箇所をアップデートした本書の改訂版刊行を強く希望するものである。

+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
引用文
「この本は、普通の人に銀行という会社や銀行業という仕事について分かりやすく説明し、公正な議論の土台を作ろうと考えて書いています。これからの日本の社会づくりや経済活動の活性化に役立ててもらいたいと思います。(中略)「銀行」問題と密接に関係している中小企業の経営に携わっている方にも読んでいただきたいと思っています。」  (5P)
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