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無香料なので問題なし » « 禍々しき者共よ 表へ出て、我と戦え
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書誌データ

新書・文庫
文藝春秋
1999年 06月 発売
294P
9784167240158

よだかを救うには

5

 著者の他の著作の中でこの作品の事を知った時、よく自分の息子の死について書けるものだ、と思った。そしてその時にはとても読めない、と手に取れなかった。
 今ようやく読むことができて、もちろん、全て消化しきる事などできる訳もないが、様々な思いがよぎり、形にしておきたい、と思う。作者が、息子の死を書き記す事によって、整理し、受けとめて行ったように。

 肉親の突然の死。しかも自らの手で。きっと大きな自責の念、後悔の想いに駆られた事だろう。一番近くに居ながら、防げなかったと言う事実を心からは消し去るのは難しい。

 脳死についても考えさせられる。自分だけの事として考えていた時は、肉体の死を迎えたら臓器提供もやぶさかではない、等と深くは考えずに肯定していたが、私に死が訪れた時の家族の想いを考えてはいなかった。二人称の相手の死を受け入れるには、ある程度の時間と環境が必要となるのだろう。 
 この臓器で誰かが助かる、と言う理屈と、まだ死を受け入れかねている相手の肉体を、部品取りの車のようには扱ってほしくないと言う感傷は、なかなかに両立が難しい。

 亡くなった息子の気持ちについても思うところがあった。何故死を選んだのか。その本当のところは誰にも分からないのだろう。常の人とはまったく異なるように感じ、違った風に考える。ぞういうこと、なのではないか。

 数年前、自分もそんな扉を開けて一歩二歩踏み込んでしまった時期がある。何とか戻ってきたつもりだし、そんなに深入りはしていないとは思っているが、一度ヒューズが切れてしまった世界は以前とは同じようには見えて来ない。
 仕事にプライベートと、色んな事が重なって、どうしようもなくて、追い詰められて。食欲不振。吐き気。不眠。視野狭窄。考えがまとまらず、言葉は出なくなり、記憶力は減退し、ストレスで肉体はかくも能力が低下するものかと驚き、挙げ句の果ては上司の前で失神寸前まで行った。周りの人間の言動が全て疑わしく思え、全て悪いのは自分だ、と無能力感にさいなまれた。

 「大丈夫だ」とか「気にするな」とか、通常なら理解できる事も、そんな風に思えない。まさに「いつもの自分ではない」のだ。

 何故抜け出せたのかも分からないし、必ずいつか解決する等と無責任な事も言えはしない。言えるのは、その時彼が感じ、思う事は、たとえ肉親でも、恋人でも、完全に分かりはしない、と言う事。だから無理解な残酷さで傷つけてしまうこともあるし、でも、その事に罪悪感を持ちすぎる必要もない、気がする。

 けれど、入り口で連れ戻す事が出来たら。助けたいのは当然。

 対人が怖いなら、今の世なら、例えばこのようなサイトで好きな作家について語り合う、などと言う事もできたのかな、とも考えてみたが、ネット上の残酷さと言う面もあり、そうは簡単ではない。

 突然訪れた肉親の受け入れがたい死。それを整理する事、その先にあった事は様々考えさせられた。でも、それ以前に、そんな事態を防ぐことが出来たら。どうすればいいのか。何が出来るのか。
+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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