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書誌データ

小説・エッセイ
光文社
2016年 08月 発売
302P
9784334911133

内容紹介

東京で東日本大震災に遭遇し、テレビに映る被災地の映像に激しい衝撃を受けた文芸編集者の山下亜依子は、編集長の小暮から、被災地である仙河海市出身の作家・武山洋嗣に原稿を依頼できないかと持ちかけられる。武山のことはデビュー時に担当していたものの、本を一冊出したきり、三年前から音信不通になっていた。その武山に、こんなタイミングで、執筆の依頼などしていいものか。一方、震災以後、書けなくなってしまっていた担当作家の桜城葵からは、新作の取材のために仙河海市に入りたいと持ちかけられて...。

「震災」をテーマに書くということ

4

熊谷さんは宮城県生まれで仙台在住の作家さんです。

2011年の大震災も現地で体験され、これまでも津波や地震が出てくる作品を上梓されています。

ですが本書を読んで、ようやく震災と真正面から向き合って物語を書く準備ができたのだなと、それだけ時間が必要で、それだけ大変な出来事だったのだと改めて感じました。


物語は東京で出版社の編集部に所属する女性の目線で描かれていきます。

ある作家と待ち合わせの場所に赴く途中で揺れを感じた亜依子。

東日本に甚大な被害をもたらした揺れとその後の大津波を映像で見て衝撃を受けます。

そして過去にかかわった東北出身の二人の男性のことも思い出すのですが、その後被災地に赴いて彼らと邂逅する運命だとは思ってもいませんでした。


その一人はかつて取材が縁で付き合うようになった男性であり、もう一人は被災地出身の亜依子の勤める出版社の文芸誌の新人賞を取ってデヴューするも一作で消えていった、亜依子にとっても気にかかる武山というまだ若い男性でした。


震災の当日会う予定だった女流作家桜城葵が震災後書けなくなり、連絡も取れなくなっていたのですが、久しぶりに会うとボランティアで被災地に何度もおもむき「遺体」の捜索もしていたのだと、実は震災をテーマにした作品を書きたい、と打ち明けられます。それを乗り越えないと作家としての生命を絶たれてしまうとも。

宮城県の被災地に取材に赴く亜依子と葵。そして亜依子はひそかに上司に武山の所在を調べ会ってくるようにも言われていたのでした。

それは震災を体験した作家の目で物語を書いてもらうこと、それが目的でした。しかしあざとさを感じた亜依子は躊躇うのですが、偶然が重なり幸運にも会うことができた武山は以前のためらいがちな印象とは異なり、震災にあった地元とそこに暮らす人びとをえがいてみたいと、答えます。


武山の五年ぶりの新作は当初依頼していた長編とは異なり、連作短編という形で文芸誌に連載されることになります、ただし亜依子が担当を引き受けてくれたらという条件付きで。

そして葵の新作も出来上がり、そのスタンスに疑問も持ちながら、亜依子はできるだけのことをしようとします。


その後、純文学の文芸誌に掲載された武山の震災後を描いた作品が有名なA賞の候補作に選らばれ、選考会の当日上京した武山と亜依子は葵も含め結果を待つことになります。


良くできた作品で東日本大震災を扱っていなくても、読みごたえがあったと思います。ですが震災を扱ったことでより深みと重みが増して、熊谷さんが目のあたりにして取り組んでいる世界観というか問題意識が伝わってくる力作になりました。


物語を通じて現実社会とかかわっていく作家の覚悟を教えられた一冊でした。


+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
引用文
「「累々とした屍の山の上に机をおき、足元で蠢いている彼ら彼女らを踏みしだきながら小説を書くことになる。その覚悟なら出来た。そういうことです」」  (192P)
熊谷さん自身の覚悟を吐露されている気がして……
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