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書誌データ

小説・エッセイ
文藝春秋
2015年 04月 発売
358P
9784163902494

内容紹介

「世に二つとない絵を描く」画人、その名は伊藤若冲―池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭...絵師たちの運命が京の都で交錯する。著者渾身!至高の芸術小説。

作家が想像した物語

3

かなり史実とは異なる内容となっているようです。

物語とはそういう物だと割り切って読んだほうがいいと思います。


京都生まれの作者が資料を駆使し、かつ実際に若冲が残した絵からインスピレーションを得て、あるいはこのような事であったかもしれない、と作り出した世界です。


まず若冲は錦小路の青物問屋の長男として産まれますが、生来絵が好きで商売には熱が入らず若くして隠居してしまいます。

その陰には滋賀県の醒ヶ井から嫁いできた妻、三輪の苦悩を気づかずに土蔵で自死させてしまったという、生涯つづく後悔があったと澤田瞳子は因果めいた設定にしています。

そしてその弟として青物問屋に来て働いていた弁蔵がそんな若冲に反発し家を飛び出し、市川君圭という画家となって生涯若冲の模写、贋作を作り続けたというかなりデフォルメしたストーリー展開になっています。

そんな若冲と君圭の葛藤、そして絵の模索をつづける様を見守ったのが腹違いの妹、志乃という構図です。

その志乃が一度嫁ぎますが、その嫁ぎ先の強欲な夫が錦問屋を潰してしまおうと画策し、驚いて家を飛び出た志乃が絵に熱中する若冲に訴え、やむなく画業を一時中断して問屋街の救済に奔走する。その際に知り合った江戸から来ていた役人と知り合い、その後不思議な縁で関わり続ける、というストーリーになっています。

実際に若冲が錦問屋の救済を求めて奔走したのは事実のようです。


うっかりして読んでいくと、わかり易く読みやすいその文章と整合性がととのえられた筋書きに、つい本当のことかも、と思わされてしまいます。


しかしそんな独特の若冲の絵が妻を死なせた後悔から生まれたのだというのはどうでしょう。

そう澤田瞳子さんが感じたのでしょう。

どこか華やかさのなかに陰りのようなものがあるのを、見て取ったのだとは思います。


個人差があって何とも言えませんが、ただただ後悔の念だけで書き続けた、というのも一人の人間を形つくる要素としては薄っぺらに過ぎるように感じます。

ほかにも若冲という謎の多い人物を形つくる要素がたくさんあったようにおもえて、そのあたりをかなり大胆にバッサリと切り捨てている本書にすっきりとしたものを感じるか、わかり易すぎて浅さを感じるか、のどちらかだと思います。


私は残念ながら、整い過ぎてそのに描かれる若冲像が小さくなっていくように思いました。


そしてそんな物語の是非はどうであれ、今に残された若冲の絵の数々は絢爛で豊穣でどこか命の儚さを感じさせる不思議な趣で、輝いているのに沈んでいるような独特な面持ちでただそこにある、という印象です。

若冲が本当はどのようなことを感じ、面白がって書いたのか謎のままです。

そのほうがいいのだ、とも感じてしまいます。


物語には内容紹介にあるように有名な人物がたくさん出てきますが、いずれも舞台の上をさっと通り過ぎるだけで深くは描かれていない印象です。

そのあたりも浅さを感じるゆえんのようです。

+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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