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佐伯さんの第一作品集 » « どこまで本当なのか……
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書誌データ

小説・エッセイ
集英社
1995年 07月 発売
372P
9784087741544

長い題名です。

4

「その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた。」

かなり衝撃的な書きだしです。つかみはOKと言ったところでしょうか。

佐藤正午さんが40歳の時の作品、かなりミステリー色というか謎めいた女性と関わり、あるふれた幸せを失い、犯罪にまで手を染めそうになる男の姿をじりじりする書き方(情報を小出しにして、全貌をなかなか見せないという手法だと思います)で描いていきます。


小学校の教師である私、鵜川勉は同僚の女性教師、笠松三千代と関係を持ち、当然のように結婚を意識しています。その彼女が帰省からもどってきたバスに乗り合わせていた一人の女性。遠沢めい。看護師でどこか気になる存在。

けれど主人公にはこまごました学校の仕事やトラブル、たとえば生徒が家出して帰ってこない、とか。実はその女子生徒の母親と関係を持っていて、頻繁に電話がかかってくる、ということがやがて分かってきます。

そして身体測定の日に嫌がって休んだ女子の家をまわって説明をする様子などが描かれ、看護師寮の近くにある喫茶店、ショットガンで時間をいつも潰しているという遠沢のもとを訪れ話し込み、やがて関係を持つようになります。


冬から春、そして夏、秋と四季ごとに章を変えて描かれる物語は年月もへだてて、その後八年がたったと語り始められます。

結婚を約束していた女性は離島の教職につき、主人公と別れ、遠沢めいとの関係も、ある日校門の前に横付けされた埃まみれの黒塗りの乗用車から降りてきた大きな体の男、一見して堅気の職業ではないと知れる男性、真山によって終わりを告げられます。

おどしをかけてきた真山は主人公の父親、競輪の選手だった父の弟子にも脅しの手を伸ばします。

その真山を殺そうと言い出した遠沢めい。

真山が持っている拳銃をつかい、亡きものにしようというのです。

そして冒頭の一行目につながります。


けれど私は犯行現場として予定していた墓場にはいかなかまま、遠沢が真山を別の銃で撃ち殺し、捕まって刑務所に入っていることがやがて明らかになります。

想いでの中の彼女をひきづって生きる主人公。酒におぼれ、下宿状態で生活している女子生徒たちに振り回され、と主体性のない生活ぶりが目立ちます。


そして出所してきたという遠沢と真山のために建てたというお墓で再開を果たします。


日常生活に忍び込んでしつこく離れない、非日常的な欲望とその導いたものが徐々に姿を現し主人公を一見普通に見えて破滅に追いやっていく様がじわじわと、そして日常の何気ない風景に紛れ込んで、描かれていきます。

佐藤さんの描くダメ男はいつもこうですね。

女性に弱いというか、欲望を押えられずに堕ちていく、そんな男ばかりです。

もしかしたら願望として「堕ちたい」と誰もが心の底で思っているのかもしれません。

ボロボロになって堕ちていって、それでも好きなこと、欲望の限りをつくしたいと。

それを佐藤正午は好んで描いているのかとも。

だから佐藤正午の作品は本作を含め映画化されるのかもしれません。

+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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