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書誌データ

教育・資格検定
光文社
2017年 05月 発売
558P
9784334979058

内容紹介

衝撃の結末から3年。今はじめて明らかにされる真相とは?

目次

1 事件/2 踏み台/3 挑戦状/4 逮捕/5 前哨戦/6 公判/7 墓穴/8 真相/9 被害者/10 判決/11 動機/12 課題

オタクの歪んだ自己満足が図らずも現在そして未来の問題を浮き彫りにした。

4

本書は、プログラマーの片山祐輔が他人のPCを遠隔操作し犯罪予告を行わせたために発生した誤認逮捕と片山が有罪判決を受けるに至った経緯とその過程で浮き彫りになった様々な問題点についてのノンフィクションです。

片山はプログラマーとしては凡庸でしたが、根本的には頭は悪くなく、抜けているところもありますが計算高く狡猾な面もある男です。

逮捕され起訴される中で、弁護士から見て、片山が犯人であれば通常選択しないであろう判断を、逆に言えば片山が真犯人でないからこそ選択できると思われる法廷戦術を弁護士の勧めに応じて了承したことから弁護士は片山が真犯人でないことを確信します。

しかし、それはこの問題の特異性、押収されたPC等は、それを使って片山が犯行を行ったと立証できて初めて物的証拠となるが、その立証が極めて困難であるということを認識していた片山による敵を欺くためにはまずは味方を欺く戦術だったということです。

そして、裁判の中で容疑者である片山が自身のPCを真犯人に遠隔操作されたと主張しました。片山が、遠隔操作され誤認逮捕された被害者のPCを、遠隔操作したという決定的な証拠がない中で、このように主張されると、まるで合わせ鏡のようにどこまでいっても入れ子のような状態になります。この主張の立証責任は検察側、被告側のどちらにあるのでしょうか?

被告側が荒唐無稽な主張を行い無罪を主張するのであれば、その立証責任は被告側にあるのが一般的な考え方ですが、このPC遠隔操作事件は「PCの遠隔操作」が争点となっている事件である以上、「PCを遠隔操作」されたと主張することは荒唐無稽とは言えないという妙な状況になります。

しかし、問題は検察側、被告側共に「遠隔操作されていない」あるいは「遠隔操作された」ということを立証することはほぼ不可能ということです。

状況証拠を見る限り相当怪しいが決定的な証拠がない本事件のような場合、つまり「犯人であるかもしれないあるいは犯人であってもおかしくない」という必要条件を充たすものはいくらでもあるが、「容疑者が犯人でなければあり得ない」という十分条件を充たすものががないこの事件について裁判所はどのような判決を出すのか注目が集まりましたが結局その判断が下されることはありませんでした。

それは片山が保釈中に真犯人を装ってメールをするという自爆ともいえる行為によって犯人であることが明らかになってしまったからです。

この事件を通して様々な問題提起を筆者は行っています。警察の捜査方法の問題、検察や司法の問題、刑務所における更生の問題、ジャーナリズムの問題。

確かにもっともな問題提起ですが、今現在ある問題よりも、私が思ったのは今後ますます増え、さらに高度化していくと思われるサイバー犯罪の問題です。

まあ、この事件の最初から警察と片山でエラー合戦でお笑いに近い話が沢山出てきます。片山は前述のとおり、大したプログラマーではなくサイバー犯罪と言えるレベルのものではなかったのですが、この程度でも警察の右往左往ぶりはひどいし、現在の司法制度ではかなり対応が難しいことが浮き彫りになりました。

この事件では片山は実際に犯行予告の内容を実施するつもりはなく、愉快犯に近い形でしたが、さらに巧妙でかつ社会的影響が大きいサイバー犯罪が行われるようになった場合、今までの犯罪捜査、つまり犯行が起こった後に証拠を集めて立件するというプロセスが通用しなくなる可能性があると思います。

それは起こってから対処するのでは「ネットが発達し、社会インフラがITなしでは成り立たない現代においては社会的影響が大きすぎる」という部分と「証拠を集めることが極めて困難」といった特性に起因すると考えられます。

そうなると世界に誇る日本の近未来SFの金字塔「攻殻機動隊」のように推定有罪で攻撃することができる「攻性」の「公安」の世界もあながち空想の世界ではない時代がやってくるのかもしれません。

「攻殻機動隊」はまさに、人々の電脳(脳に埋め込まれたコンピュータを通じてネットにつながってる)をハッキングすることで遠隔操作し傀儡となった人々に犯罪を起こさせるハッカーと対決する物語だからです。
+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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