ブクレポ
ブクレポってどんなサイト?
login_header
新規登録(無料)
login_header
ようこそゲストさん 
  • ログイン
  • ブクレポとは?
  • ヘルプ
  • ホーム
  • 本をさがす
  • ブクレポをさがす
  • ユーザをさがす
3kiさん 
40 あり!
あり!
このブクレポを評価しよう!あり!とは?
+5あり! +5あり!を取り消す +5あり! +3あり! +3あり!を取り消す +3あり! +1あり! +1あり!を取り消す +1あり!
このブクレポにあり!した人
和算礼賛 » « 無名のままに
book_report_header

書誌データ

新書・文庫
新潮社
2013年 03月 発売
207P
9784106105128

内容紹介

まさか!?なんてこと!!パンダの母親は「できの良い子」をえこひいきして「ダメな子」を見殺しに。タスマニアデビルは生まれたての赤ちゃんにサバイバルレースを課し、リスはご近所の子を取って食う...子殺し、DV、虐待は日常茶飯事。極悪非道に映るメスたちの狙いとは?オスはその時どう動く?「ヒト」は彼らと別物か?テレビ番組や動物園が伝える美談からは決して見えてこない、動物たちの恐ろしく、たくましい真実の姿。

目次

第1章 パンダの育児放棄/第2章 クマの産児調整/第3章 ハヌマンラングールの子殺し/第4章 ラッコの暴力行為/第5章 タツノオトシゴの自己改造/第6章 タスマニアデビルのキョウダイ殺し/第7章 オオジュリンの浮気対抗術/第8章 先住民たちの虐待/第9章 赤ちゃんか、“精霊”か/第10章 母親たちは進化したか/第11章 壮絶事件の根と芽

エコノミカル・ベイビー

4

「種の保存」などというものは考えていない。「自己の遺伝子の保存」が、最終目的だ。

そうふるまったからこそ、現在まで続いている、そして、我らはその子孫である。
そのように痛感させられるのは、自分たちも決して利他的といえる生き物ではないからだろう。

節約は、適応的である。
そのように考えざるを得ないのが、繁殖行動である。
交尾から、養育に至るまでを一連に考えて、生き物は、その社会において、最も合理的な行動をとる。

哺乳類は、最も人間と近縁な、行動の似通った生きものだとは思うが、それでもかなり違っていると感じる。
「親は子を愛するものではない」
そうした原理が見えるのだ。

もちろん、哺乳類は、子に乳をやり、子育てをする。産みっぱなしの動物が多い中で、愛情が子孫繁栄につながる生き物というのが一般的な解釈だろう。
しかし、それは、ごく表面の解釈に過ぎない。
例えば、一夫多妻の群れを形成する生き物の多くが、群れの乗っ取りによってオスが交代した際に、子殺しが行われる。妊娠中や子育て中のメスは、次の子を孕まないがためである。メスはというと、そうした際に、流産や早産をするものも多い。どうせ、オスに殺されるのであれば、と、コストを最小限にするのである。

パンダやタスマニアデビル、イヌワシのように、「スペア」を生む生き物もいる。
パンダの双子というのは、最近のニュースでもよく取り上げられていたのでご存知の方も多いだろうが、双子といっても、第一子より第二子の方が極端に小さい。母パンダは、大きい方を育てるのだ。
タスマニアデビルは、20から40の子どもを産むのに、育児嚢に乳首は4つしかない。先着4名のみのサバイバルだ。順番に交代ということはない。これは、選別なのである。
イヌワシも1つ目の卵より2つ目の卵が10パーセント小さいパンダ型。先に生まれた1羽目は、2羽目をいじめて殺してしまう。これは、餌が乏しく、2羽育てられないからで、親も見て見ぬふりをする。ただし、餌が豊富な場合、複数育つこともある。

さらに、「夫婦は愛し合い、一生添い遂げるものではない」。
遺伝原理からいえば、メスにとっての好都合は、様々なオスの遺伝子を持った我が子を作ることである。その方が、病気や環境の変化に対応できる可能性のある子供が現れやすい。
そのために、ツキノワグマは、「着床遅延」をおこす。
様々なオスと交尾を行い、複数の子どもを一緒に産む。
さらに、子育て期間が長いグリズリーなどの仲間は、一度に子どもが1頭しか生まれなかった場合、育児放棄する。4,5年を1頭のために費やすより、今年はあきらめて、来年、複数の子どもを期待する方が、効率的なのだ。

鳥は、多くが浮気をする。
オオジュリンは、浮気命で、一夫一妻か、一夫二妻は建前上で、隙を見て、浮気をする。
しかし、メスにとっては、すべて我が子、子育てをしっかり行うのは当然だが、オスはというと、妻の怪しい行動の割合によって、子育ての手抜きをする。
オスにとっては、「我が子かどうか確信がない」というのが交配における問題点なのだが、それを、経験で克服しているのである。
子育てを手伝う、後釜狙いの独り身オスがいるのは、ヒメヤマセミだ。血縁の叔父にあたるオスがヘルパーをしているうえに、第2ヘルパーとして潜り込むと、つがいオスが死んだ際に、亭主に収まる可能性が高い。場合には乗っ取りも行われる。

さて。このように見ていると「やはり動物は、人間とは愛情の持ちようが違う」ということになりかねないが、実は、有り方が違うだけで、人も同じである。
よく考えれば、射精された精子の数に対し、卵と結合できるのはごくわずか、その卵ですら、生涯で多くは捨ててしまう。これだって、命のスペアといえばそうだろう。
また、自然排卵の生き物である人間も、時と場合によっては、交尾によって排卵が促される交尾排卵を起こすこともある。戦時中や大災害、クリスマスなど、心の大きな揺れによって排卵の仕方が変わる。生き物の原理から、人間も外れてはいないのだ。

そして、それら動物の例の後に紹介されるのは、先住民たちの出生にまつわる習慣と現代社会の問題点だ。

振り返ってみれば、相互のつながりが強固になり、そのために生存可能性が高まり、社会的な立場を広く気にするのはここ100年といったところだろうか。
古くは、日本でも、子は間引かれていたし、「初七日」というシステムは、それを後押ししてもいた。
だから、現在もまだそれが別のところで行われているからといって、咎める口は持たない。
さらに、先に見たような動物の例を人間に置き換えた場合の児童虐待もある。
継父や多すぎる子供、障害や病気などの生きづらさ、貧困がその原因となりやすい(もちろん、そんな場合でも虐待の怒らない場合の方が圧倒的に多い)ことが、事件の統計からわかっている。

最後は、「動物の子育て」というより、「人間の子育て」を力説しており、むしろ、こちらが著者の書き表したいことなのだと感じる。
人間が、子の虐待を回避する形態とは、母系制社会なのだそうだ。その長が女というわけではなく、男でも構わない。ただ、母親の属する親族のもとで育てられるのが女系制社会で、古くは、平安貴族などの通い婚もそうだし、父の田舎に近い合掌造りでも有名な白川郷でも似たような形態であった。
女性が子を生み育てるのに対し、男性は、通う。夜這いをしてできた子どもは、母親の親族に育てられ、父親は問わない。母は、子育ての心配をすることなく、後ろ盾に守られる。
しかし、なぜそれが多く続かないかというと、女系制社会は、「戦に弱い」という悲しい現実のためだ。そのせいで、滅ぼされるか、あるいは、変節を余儀なくされる。
それで残った子孫が我々なのだ。

人は、何も特別な生き物ではない。
エコノミカルに活動した結果、我々が生き残った。
後付けの倫理などよりも、歴史などよりも長い進化の過程がもとにある。
本能的な行動をしたとき、「人でなしだ」と自分を責める必要はない。紛れもなく、それも、人なのだから。
+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
book_report_footer

ブクレポの輪

ブクレポの輪とは?

このブクレポへコメント

 3kiさんのブクレポ

無名のままに
無名の人生
4
あり!:35     コメント:0
杯の友
陰陽師 螢火ノ巻
3
あり!:38     コメント:0
人の誤りはしっくりこない
しっくりこない日本語
3
あり!:40     コメント:0
塩野流 政治と経済
逆襲される文明 日本人へ 4
4
あり!:30     コメント:0

 この書籍のブクレポ

ブクレポはまだありません。

この書籍のブクレポを書いてみましょう!