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物心ついたら身近にあった「村上春樹」という存在 » « 「本当に面倒くさい人たち」を愛した編集者
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書誌データ

新書・文庫
草思社
2015年 06月 発売
484P
9784794221339

内容紹介

アメリカ文学がもっとも輝きを放った時代、『偉大なるギャツビー』『日はまた昇る』『天使よ故郷を見よ』などの名作をつぎつぎと世に送り出し、一時代を築き上げた名編集者パーキンズ。世界恐慌や第二次世界大戦の社会不安、作家との死別、家庭の不和や悲劇に直面しながらも、たゆむことなく仕事に向かい続けた人生だった。出版に情熱のすべてを賭けたパーキンズの仕事と人間像を描きだす。全米図書賞受賞作。

目次

時間との戦い/第3部(再び故郷に帰る/危急のとき/手紙/訣別/悲しみの風)/第4部(すべてのものの季節/縮小のとき/灰色と黒の肖像/最後)

「アメリカ文学」の誕生に立ち会った男

5

下巻です。編集者として以上にパーキンズはトマス・ウルフという燃え盛る炎のような情熱の塊ととことん付き合うのですが、ウルフのほうが神経質というか、評判(ウルフの作品はパーキンズによって作られた。一人では作品を完成できなかっただろう、というもの)を気にして、袂を分かとうとします。出版社を変えることを思い付き、その思い付きどうりに行動して、かえって自身が孤独におちいり、旅先で身体を壊し、結核性の脳炎で三十八歳を目の前にして亡くなってしまいます。

パーキンズが編集者としてかかわるようになった主な三人。フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ウルフはいずれもが才能豊かな傑作を物にした天才的な作家ですが、その素顔は思いがけないほど子供じみていて嫉妬や猜疑心、そして社会人として暮らしていけないほど乱れた金銭感覚や社交性の欠如など、それだけを見るならば友達に持ちたくないと思わせる性格の持ち主です。


ですがそんな癖や欠点を感じさせないほどのあるれる才能の持ち主で、彼らが語る作品の構想、あるいは夢のような思い付きでもパーキンズを夢中にさせてしまったのでしょう。

そのパーキンズは意外にも本を読むのが遅く、編集者としてはどうか、と思われる資質の持ち主だったと書かれています。が、パーキンズは頑固で勤勉で堅物という性格どうりに持ち込まれた作品と真摯に向き合い適切なアドバイスをあたたかな言葉で送り、名作を世に送り続けました。そのパーキンズがプラトニックな恋愛感情をずっと持ちつづけた女性、エリザベス、レモンに送った書簡が残されていて本書が書かれたというのも興味深いことです。


ウルフに続いて放蕩の果てにという印象ですがフコット・フィッツジェラルドも亡くなり、じょじょにパーキンズにも老いが忍び寄り、やがて死が訪れます。

それまでに名声を手にした(願っていたわけではないでしょうが)パーキンズでしたがウルフ、フィッツジェラルド亡きあとも何人かの著名な作家を見出したようです。


sashaさんが下巻のレポのタイトルにもされていますがパーキンズの心情、信念ともいえる言葉「この世に書物ほど大切なものはない」を自らの人生で語るような生涯でした。

そして感銘を受けた言葉としてフィッツジェラルドの娘スコティに当てての助言を挙げておきます。

スコティは小説を書きたいと願っているのですが、パーキンズは一般教養課程の重要性を説き、書き方の講座を避けるようにと忠告したそうです。

誰しもじぶんで書き方を発見しなければなりません。それは、おおむね文学以外の世界で見つかるのです。


現代のアメリカの大学には書き方を教える学部がたくさんあるように聞いています。作家になるために大学で学ぶ。その結果が現代のアメリカの文学の質をむしろ落としているのではないか、とも感じるのは私だけでしょうか。

傑作は個人の体験とそれを導いてくれるパーキンズのような信念を持った編集者とによってしか生まれないのではないか、そんな古い考えを私はつい支持してしまいます。


愛する作家フォークナーについても少しだけふれられていて、マルカム・カウリーというフォークナー再発見の立役者でもあった批評家が出てくるのも興味深かったです。


一番驚いたのは作品が書かれた年代もそうですが(1978年の事です)翻訳も四十年前の1987年だということです。色褪せない訳文の生き生きとした輝きにあらためて驚いたことでした。


たまたま映画化されることになって、それを当て込んでといったら言い方が悪いのでしょうが、そんな経緯で文庫化されsashaさんの目にとまり、そのレポを読んで私が興味をもち、という不思議な糸で巡り合った傑作でした。


上下巻でほぼ1000ページ近い読みごたえのある作品を堪能できて大満足です。


sashaさん 素晴らしい作品を紹介してくださってありがとうございました。

+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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