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書誌データ

小説・エッセイ
講談社
2005年 04月 発売
165P
9784062128841

内容紹介

2001年の夏の終わり、20年来定住している日本から母国アメリカへと旅立った主人公は、同時多発テロ発生により経由地カナダで足留めされる。すべての国境が閉鎖され、アメリカへも日本へも帰ることができない状況の中、砕け散った世界のおぞましくも新しいイメージが襲いかかる...。国境を越えて日本語の可能性を開拓してきた作家が、「9・11」後の世界に提示する傑作小説。

著者紹介

リービ 英雄:西洋出身者として初めての日本文学作家。1950年米国カリフォルニア州に生まれる。少年時代から台湾、香港などに移住し、十六歳から日本に住む。以降、日米往還を繰り返し、その間プリンストン大学大学院博士課程修了。プリンストン、スタンフォード大学で日本文学教授を務める。東京に在住。82年、「万葉集」の英訳で全米図書賞受賞。92年、小説デビュー作『星条旗の聞こえない部屋』で野間文芸新人賞受賞

その時、飛行機で帰省しようとしていた彼は

4

「世界は文学でできている」で登場されていたリービさんの作品を読んでみました。

「万葉集」で全米図書賞を受賞され、その後日本語で書かれた小説「星条旗の聞こえない部屋」で」小説デビューされたリービ英雄さん。


本作品は実際に作者が体験した9,11、あのアメリカを襲った同時多発テロ事件を描いたものです。

偶然エドワードは里帰りの為にカナダを経由してアメリカに帰る途中でテロ事件に遭遇します。

何故カナダを経由して、かというと喫煙者として禁煙する時間が長引くのが苦痛で、すこしでもフライト時間の少ない便を、たとえそうフライト時間は増えても選んだという笑えない理由からです。

バンクーバーに到着した飛行機はそこで待機、アメリカは国境を閉鎖する非常事態になっていました。

何処へも行けなくなり、ホテルに宿泊して喫煙しながら電話を掛けますが妹にも母親にもつながりません。

その後、母親とは連絡が取れるようになり、いつこちらにやってこられるのか、と尋ねられ答えられないエドワード。

なるべくテレビを見ないようにしているのですが、吸い込まれるように時折画面に入り込んでしまします。

燃え上がり崩れ落ちるビル。高層階から落下する人々。

その後、妹とも連絡は取れるようになりますが、彼女が告げたのは雪のように降ってくる煙と紙切れ、などのテロ後の風景でした。


そしてエドワードは何処へも行かないまま、いけないまま日本に戻ります。

その体験を感情を排してというより、麻痺した状態で眺めた世界的なテロの個人的な体験をつづったものです。


タイトルはエドワードが思い浮かべる松尾芭蕉の句からとられたもので

作中には「まつしまや、しまじまや、ちぢにくだけて、なつのうみ」と出てきます。


まさに千々にくだけたアメリカという国の素顔を描いた作品だと思いました。

興味深いのが、それぞれの場面で英語というか作者は米語と記していますが、それらをいちいち日本語に訳して考えようとする場面が多く出てくること。

グラウンドゼロについても今では耳慣れた言葉になりましたが、作中でエドワードは

グラウンド・ゼロと日本語で発音してみた。ばくしんち、と頭のなかで和訳がひびくと、思わずたじろいでしまった。」と書かれています。


続編的な短編「コネチカット・アベニュー」では「千々にくだけて」出会えなかった血のつながらない妹アニータと会話を通じて、彼女の知り合いだったテロで犠牲になった女性についての思いや(ハイジャックされた飛行機に乗っていて亡くなった彼女は死を予感、あるいはかくごしていただろうか、とか)アメリカを襲った恐怖が彼女を通じて伝わってきます。


あなたは知っている? 旧ソビエトの兵器庫から十個のスーツケース型原子爆弾が行方不明になっています


つづく「あとがきにかえて―9・11ノート」でリービさんは繰り返し「for what?」と書いています。

そんなことをして「何になるのですか?」と


感情を排することで描くことができた、想像を超える惨事の物語。直接かかわるのではなく、なすすべもなく眺めるだけの悲惨さが伝わってきます。

それを日本語でつづったことに意味があるように思いました。

+5あり! +3あり! +1あり!
【 読了日: 】
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